肺炎球菌は鼻やノドの奥につきやすい細菌のひとつですが、健康で体力のある状態ならば、免疫力が十分あるため感染症を引き起こすことはあまりありません。しかし、体調をくずすなど何らかの原因で免疫力が低下していたり、かぜをひいた後などに、肺炎球菌による感染症─肺炎、髄膜炎、菌血症/敗血症、中耳炎、など─を発症することがあります。1)

肺炎球菌と肺炎球菌感染症

肺炎球菌による感染症にかかることが多いのは、5歳未満(とくに2歳未満)の乳幼児や65歳以上の方です。1,2)5歳未満(とくに2歳未満)の乳幼児では免疫機能が未発達のため肺炎球菌に対してうまく免疫が働きません。3)また、65歳以上の方も見た目は元気なようでいても免疫機能が低下し始めていますので、感染症にかかりやすくなっています。

加齢とともに、免疫力が落ちてくると、感染リスクが高まります

ほかにも肺炎球菌による感染症にかかりやすい方として、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患などの慢性疾患を持つ方や、病気の治療中などで免疫抑制状態にあり免疫力が低下している方、脾臓を摘出されている方、たばこを吸っている方などが挙げられます。

1)厚生労働省:肺炎球菌コンジュゲートワクチン(小児用)Q&A <医療従事者用>
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou/pdf/110228-1.pdf 2023/11/06参照
2)国立感染症研究所:成人侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)症例の臨床像の特徴と原因菌の血清型分布の解析
https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2432-iasr/related-articles/related-articles-461/8168-461r05.html 2023/11/06参照
3)「細菌性髄膜炎診療ガイドライン」作成委員会編集:細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014(日本神経学会,日本神経治療学会,日本神経感染症学会監修),2014,南江堂

監修 東京医科大学 微生物学分野 兼任教授 岩田敏 先生

2023年12月作成 PRV45N021A