健康寿命をのばす、おとなのための予防接種。
いつまでも元気な身体で!
あなたにとっての「幸せ」は何ですか?
大切な家族や友人たちと、何気ない時間を楽しむこと。大好きな趣味や運動に没頭できるひととき。気の向くまま、ひとり自由に行動する一日。生涯にわたって、仕事や役割を持つこと。地域社会との関わり。かけがえのない人たちを守ること・・・。
人生のいきがいや楽しみ、それは多様なもの。でも、その根底に共通して必要なのは、「健康な身体でいられること」に他ならないのではないでしょうか。
できるだけ「自立した生活」を続けることこそが、充実した人生の礎。
いつまでも、いきいきとした日々を送るためには、「元気な身体」を守ることが何より大切です。
「健康寿命」をご存じですか?
日本は世界屈指の長寿大国です。しかし、「長寿=幸福」と単純に言い切ることもできません。平均寿命の中には、要介護など「不健康な期間」といわれる時期も含まれているからです。
そこで今、注目を集めているのが「健康寿命」という言葉です。世界保健機関(WHO)をはじめ、厚生労働省も提唱している概念で、一般的な「平均寿命」とは異なり、「介護を必要とせず自立して生活できる期間、日常生活に制限のない期間」を指します。
厚生労働省の発表(2019年)によると、日本人の健康寿命は男性で72.68歳、女性で75.38歳。平均寿命との差は、それぞれ8.73年、12.06年です。今後は、平均寿命だけではなく、この「不健康な期間」も長くなる傾向が予想されることから、厚生労働省は対策に着手。国民の健康づくりを図り、平均寿命ののび以上に、「健康寿命」をのばそうという施策を推進しています。
日本における健康寿命と平均寿命
※健康寿命:日常生活に制限のない期間
資料:平均寿命:2001・2004・2007・2013・2019年は、厚生労働省「簡易生命表」、2010年は「完全生命表」。
厚生労働省:第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会 資料3-1 健康寿命の令和元年値について より改変
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000872952.pdf 2023/11/06参照
健康寿命をのばすための「肺炎球菌ワクチン」
厚生労働省は、『国民の健康寿命が延伸する社会』に向けた予防・健康管理に係る取組の推進(概要)を発表し、その中で肺炎の予防対策のひとつとして「成人用肺炎球菌ワクチン接種の推進」を掲げています。予防接種によって、私たちの身体が守られ、国民の不健康な期間が少しでも短くなることは医療費の減少につながり、社会全体にとっても重要で大きな意義のあることです。
生活習慣を見直す、運動器を鍛える、脳機能の低下を防ぐ─ 健康寿命をのばすために私たちができることはいくつもありますが、肺炎球菌による感染症を予防する「予防接種」もそのひとつです。予防接種は小さな子どもだけのためのものではありません。いま元気だからこそ、さらに先を考える。大人の「予防接種」をこれからの人生のお守りのひとつとして、考えてみてください。
「予防接種」という選択肢
いくら元気なつもりでいても、65歳を過ぎたら健康維持へのしっかりした自覚を持つ必要があります。特に、免疫力は低下すると細菌やウイルスによる感染症にもかかりやすくなるため、注意が必要となってきます。
肺炎や肺炎球菌感染症にかかると、問題はご自身のことだけに収まりません。同年代の配偶者やご親族だけでなく、まだ免疫が発達しきっていない小さなご家族にもうつる可能性もあります。また治療費用の面で、ご本人だけでなくご家族にも経済的な負担をかけてしまうことも考えられます。心配事がひとつ減ることは、精神面でも健康的なことですよね。「できることはやっておく」そのひとつとして大人の「予防接種」をお考えください。
道脇 幸博ほか;老年歯学 28(4):366,2014
監修 国立大学法人長崎大学 学長 河野 茂 先生